2008年04月30日

住民説明会リポート(1) 前置き

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いきなりもう殴り合いでも始まるのではないかというくらいやる気まんまんな文言が掲げられた画像で始まりますが、そんな怖い内容ではないので安心してください。3月24日(月)に墨田区押上のすみだ女性センターで開催された「『東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例』に基づく計画説明」の模様を、今日から数回に分けて書いていこうと思います。

東京都中高層建築以下略、な条例は、以前ご紹介した通り3〜4階建て以上の建物を建てるときのさまざまな規制を定めたものでして、この中の第6条第1項で、建築主には近隣関係住民に対する説明義務があると規定しています。条例では「近隣関係住民からの申出があったときは(中略)説明しなければならない」となっていますが、これだけの建築物の場合は周辺への影響が大きいので、実際には住民からの具体的な「申出」が有る無しにかかわらずちゃんとした説明会を行うわけです。

では、新タワーの「近隣関係住民」とはどの範囲の住民を指すのでしょうか。「近隣」だから“向こう三軒両隣”くらい? いえいえ、このくらいです。

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(23区東部の地図を見てもピンとこない方もいるかと思うので、いくつか著名地点を★印で補いました)

この黒枠のどこが「近隣」ですか! じつは、条例でいうところの「近隣」は、おおまかにいうと「建築物高さの2倍の半径の円内」なので、新タワーの敷地から約1.2km以内に住んでいる人はみんな「近隣」にあたります。しかも、それに加えて「電波障害の影響を著しく受ける」エリアも「近隣」扱いなので、電波の発射地点が現東京タワーから新タワーに切り替わるまで(具体的には2012年春ごろ?)の間、現タワーが建設中の新タワーに隠れてしまう場所も含まれます。それで、「近隣」が北東方向へこんなに細長く範囲が伸びているわけです。この北東の端にある川を渡ればもう千葉県松戸市です。

さて、余談はこれくらいにして、さっそく会場へ行ってみましょう。なにしろ対象エリアが広いので、説明会は5つの会場(業平・吾妻橋・押上・亀戸・浅草)を巡回する形で3月18日から28日にかけて開催されました。私が参加したのは現場に最も近く、かつ現場の北側なので日照にも影響の出る住民が多い押上の会場です。ちなみに、この地域の人はここの会場へ行ってくださいということはなく、任意の会場に参加可能でした。

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必要性への疑問や電磁波(そのうちタワーに関係するのは電波ですが)への不安なども指摘される新東京タワーですので、会場の前では反対運動のシュプレヒコールが上がっているのではないかと思いビクビクしながら出かけたのですが、実際に会場に着いてみると全然そんなことはなく、まったくもって平穏な様子でした。

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とはいえもちろん近隣住民の関心は非常に高く、ホールに並べられたイスは満席、壁際は立ち見の人たちで埋めつくされるほどの入りでした。200名以上は集まっていたのではないでしょうか。夜6時半からという早めの時間帯で、地域柄もあるので、パッと見た感じでは比較的高齢の方々が多かったのですが、学生風の人や子供を連れて家族での参加といった姿もちらほら見かけられました。

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受付では500mlペットボトルのお茶が手渡されたほか、こんなものが……

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A3で全14ページにもわたる、建築計画および周辺への影響に関する詳細な資料です! マニアの方(何のマニアかはわかりませんが)ならもうこれだけで鼻血を出してしまいそうなボリュームと内容です。私もこれをもらえただけでかなり満足してもう帰っていいんじゃないかと思いかけましたが、ちゃんと説明も聞くことにします。

説明者側は、建築主である東武鉄道と新東京タワー、設計を担当する日建設計、施行を担当する大林組からそれぞれ部長クラスの方々や技術陣らが出席し、どんな質問にも対応できる体制です。

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そして2時間にわたる説明会が始まったわけですが……前置きだけでこれだけ長くなってしまったので、続きは回を改めて書きます。
posted by hidaka at 00:17 | TrackBack(0) | 住民説明会(2008年3月)
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