あとがき


495mに達して塔体本体の建方工事が終わった2010年秋以降は特に活動しておらず、「近所の住民が見守るBlog」を銘打ちながら2012年1月末に建設現場の近所からは引っ越してしまったため、今は近所の住民でもないし見守ってもいないのですが、2012年2月29日に東京スカイツリーが竣工したので、一応このBlogも一区切りにしたいと思います。お知らせなどがあるときは今後も更新していきたいと思いますが、ひとまずあとがきです。

といっても、言いたいことは同人誌のあとがきですべて書いてしまったので、ここではそれを再掲することでBlogのまとめに代えたいと思います。(以下引用)

東京スカイツリーの工事が始まる前の2008年春に墨田区押上へ越してきて、それからおよそ4年間、建設地に隣接する区画の一住人として工事の様子を毎日眺めてきましたが、2011年秋にはタワークレーンもすべて解体されて、塔体自体の建設工事はほぼ終了しました。そろそろ、次の引っ越しの時期がやってきたようです。

今住んでいる部屋をもうすぐ引き払うという話をすると、「スカイツリーが終わったら、今度は何の定点観測をやるの」とよく聞かれます。でも、私はもともとタワーやビルの熱心なファンだったわけではないですし、長期にわたって何かひとつの対象を追いかけるなんてことは今回が初めてでした。ですから、次のテーマ等は特に考えておらず、また元の平穏な日常が戻ってくるだけのことなのだと思います。

そもそも、少なくともここ数年のうちに、スカイツリーよりエキサイティングな現場が日本国内に出現するとは思えません。高いところから写真を撮りたくてヘリコプターを借りたり、鉄骨の出荷シーンを見たくて深夜に遠くの工場まで出かけたり、タワーよりも高いビルがあるなんてショックを受けてドバイまで飛んでいったりと、こんなおかしな経験につながる工事現場なんて、ほかにあるわけがないんです。

4年間建設プロセスを見続けるのは、それはそれで大変なんですが、見続けること自体には、そんなに大した意味はなかったと思うんです。それよりも、私が前述のようなちょっとおかしな深みへはまってしまったみたいに、普段の日常のちょっと先にある何かに手が届いたとか、生活がちょっと変わるきっかけになったとか、そういう経験をした人はきっと少なくない――そして、その経験を大勢の人たちで共有したこと自体――が、634メートルなんていう超巨大建設プロジェクトの本当の醍醐味だったのではないかと、今になって思うようになってきました。

だから、スカイツリーの工事が終わったからといって「スカイツリーの次は?」なんて野暮なことは聞かないでください。この先、3本目の東京タワーが建つことはたぶんないのですから。スカイツリーマニアの皆さんや私がすべきは、次のタワーを探すことではなくて、ここで得たそのマニアックだけどエレガントなセンスを駆使して、一見退屈に見える日常の生活も、エキサイティングな現場に変えていくことではないでしょうか。そっちのほうがよっぽど「建設的」だとは思いませんか?

(2011年12月30日発行「スカイツリーRE:VIEW」P15より)
posted by hidaka at 2012-02-29 13:46

2009年12月09日

スカイツリー小冊子脱稿しました

ここ数日更新が止まっていたのは、お知らせに記載していた小冊子の制作のためだったのですが、昨日ようやく制作作業を終えて印刷所にデータを渡すことができました。正味1週間の作業だったのですが、勉強や仕事では絶対に発揮しない驚異的な集中力で取り組んだため、今日は丸1日何もする気が起きませんでした。

個人的には全ページの高解像度データをPDFで公開したいところなのですが、それだとお金を出して冊子を買っていただく方に申し訳がつかないので、さわりだけ掲載します。(もちろん頒布にあたっては、万が一全部売れても黒字にはならない価格にします。業ではなくあくまで趣味ですので)

現場のこれまでを紹介するページの一部です。ずっと前からこのサイトをご覧いただいている方には懐かしい画像かもしれません。

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唯一の実用記事、「スカイツリー定点観測マップ」です。定点観測写真講座に参加したときの内容や、いつも情報交換させていただいている現場ウォッチャーの方々からのアドバイスが役立ちました。

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目次ページは文字が読めるくらい大きく掲載してもバチは当たらないと思います。

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12月30日のコミックマーケットのほか、追ってこのBlogでも注文を受け付けるようにしたいと思います。よろしくお願いします。(といってもいつもここをご覧の方にとっては見たことのある内容ばかりだと思いますが)
posted by hidaka at 23:59 | TrackBack(0) | スカイツリー小冊子

2009年12月01日

墨田区役所

先日のアサヒスカイルームから新タワーがよく見えたのに気をよくして、そのとなりにある墨田区役所に今日は立ち寄りました。中へ入ったら脇目も振らずエレベーターに乗り込み、一番上にある19階のボタンを押下します。(区役所へは、正面向かって右の「墨田区議会」と掲げてある入口から入ったほうがエレベーターの場所がわかりやすいです)

エレベーターを出ると、なかなか見応えのある風景が視界に入ってきました。

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(この画像は18階です)

19階でも1階下の18階でも大して見え方は変わらないのですが、19階は東から南の方角だけが見渡せるのに対し、18階はそれに加えて東から北の方角も見渡せる場所があるので、18階のほうがいいかもしれません。

いずれにしても、あまりきれいではないガラス越しにではありますが、新タワーをほぼ真西から見ることができました。

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(この構図だと第2展望台の高さあたりまでしか撮れないと思いますが)

よく見る警視庁のヘリコプターがちょうど通りかかりました。タワー中央・エレベーターシャフト部分の天端に作業員の方が立っているのも確認できます。

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今日は私がいる間ほかには誰も来ませんでしたが、この階は墨田区議会の議場がある場所のため、会期中はこんなふうに悠長に立ち入ることはできないかもしれませんのでご注意ください。
posted by hidaka at 23:44 | TrackBack(0) | 新東京タワー周辺情報

外部足場も大詰め

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最盛期には第4節(足元の3方から伸びた鉄骨が結合している部分の上の節)の途中、地上高60m近くまでを三角形に覆っていた外部足場ですが、タワーの北西(手前)側から見る限りそのほとんどが無くなりました。まだ部分的には足場の一部が残っているところもあるようですが、ここ数日のうちになくなるものと思われます。

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posted by hidaka at 14:47 | TrackBack(0) | 新東京タワー建設現場全景

2009年11月30日

2009年11月29日

2009年11月28日

アサヒスカイルーム

日中現場周辺ですれ違った現場ウォッチャー仲間のスカイツリー男さんと、夕方に枕橋茶やで合流し、その後、枕橋茶やからも近いアサヒビール本社(ある非常に著名な金色のオブジェがあるところです)最上階のアサヒスカイルームに行ってみました。以前から新タワーが見られる展望喫茶と言われ気になっていた店なのですが、なかなか足を運ぶ機会がなく、今回が初めてです。

店内へ入ってみると、窓の外には隅田川の流れと美しい夜景が広がっておりなるほど展望喫茶だなというたたずまいですが、新タワーが見えません。一瞬、入る店を間違えたかと思いましたが、ビルの角部分を回り込んだ隅の席から見事に建設中のタワーが見えてホッとしました。ほぼ真西側から眺める格好になります。

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新タワーの内部が光って見えますが、これは装飾のためのライトアップではなく、日没後も工事をするための照明です。なので、日が暮れてから工事終了までわずか2時間くらいの間しかこのようには見えません。この日は夕方6時過ぎに工事が終わって消灯されましたが、長いときには7時くらいまで明かりがついていることもあります。

なお、窓ガラスに映り込んだ光の反射が激しいため、撮影時には

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カメラを何かで覆うなどの工夫が必要となります(写っているのはスカイツリー男さんで、ふたりして交代でこんなふうに撮っていました)が、混雑時にはこのように不審に思われる行動はあまりおすすめできません。もっとも、ほとんどの時間帯でガラガラのようですが。

メニューはビール1杯600円からでチャージも不要、夜10時まで営業していますので、なかなか行く価値のある場所だと思いました。ただし、新タワーが見えるのは数席に限られますのでご注意ください。
posted by hidaka at 17:57 | TrackBack(0) | 新東京タワー周辺情報

2009年11月27日

2009年11月26日

2009年11月25日

また油断

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今日もちょっと油断していたらこんなに暗くなってしまいました。まだ夕方5時前なのにもう真っ暗です。冬は寒さよりも時間の制約が大きいのがつらいところです。

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posted by hidaka at 16:52 | TrackBack(0) | 新東京タワー建設現場全景

2009年11月24日

久々にデッキプレートらしきもの

この日は撮影が夜になってしまったので、普段とは画角が変わってしまうのですがやむなく三脚撮影となりました。それでもやってみて良かったと思える点がひとつあって、それは、塔体内部に投光器があるので、昼間は垂直養生ネットにさえぎられて見えにくい部分が浮かび上がるように見えるということです。

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(ISO100 F8 15秒)

先日注目した第12節の足場周辺も

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(ISO100 F8 30秒)

この通り、より塔体中心に近い部分がよく見え、えーっ!

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あの白っぽく見える部分、あれ、デッキプレートじゃないですか?!

「『デッキプレート』っていきなりよく分からん名前出すんじゃねーよバカ!」とか言われそうですが、いえいえ、いきなりじゃありません。今年1月ごろを振り返っていただければと思います。

デッキプレートというのは床材として使われる波型の鋼板のことで、新タワーの現場ではこのプレートの上にコンクリートを打設することで床を作っています。いまや懐かしい塔体の地上部分

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(2009年1月21日)

でも、1階の床を作るため銀色に輝くデッキプレートがたくさん敷き詰められていました。今日150mの高さに見えた輝きも、ひょっとしたら同じようなデッキプレートなのかもしれないと思い、久々に懐かしいものを発見したと感じてひとりでかなりエキサイトしてしまいました。

新タワーの完成予想図や立面図をよく見ますと、高さ約150mの部分にエレベーターシャフトを取り巻くようなリング状の構造を確認することができます。それはやはり今回注目した場所に違いないと、あらためて確信を得ることができました。

しかし、1月当時の自分のBlogを見ると、日々の現場の変化を何とまぁ事細かに書いていたのかと、我ながらあきれてしまうほどです。ただ、それができたのも、敷地の外からでも現場の内部をつぶさに観察することが可能だったからと思います。いまはそれがかなわないので、普段は実に淡泊なコメントばかりになってしまうのですが、先日の空撮などを通じて(またやりますよ)、できるだけ生きた現場の姿を、何とかして記録していければと思っています。
posted by hidaka at 23:59 | TrackBack(0) | 新東京タワー建設現場詳細